板橋区議会議員 自由民主党 山田たかゆき

板橋区議会議員 自由民主党 山田たかゆき
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一般質問全文

2012年6月8日 第2回定例会

1 持続可能な区政運営について
(1)財政健全化に向けた区長の意気込み
(2)「事務事業の見直し」について
(3)区内施設の修繕計画について
2 文化振興について
(1)板橋区基本構想について
(2)「いきいき暮らす緑と文化のまち"板橋"」の理念について
(3)板橋区外の文化施設の活用について
3 文化振興策についての具体的な提案
(1)「アール・ブリュット」について アート×福祉
(2)「板橋板絵」について アート×商店街振興
(3)印刷文化の発信 デザイン×産業振興
4 文化施設・作品・資料の活用促進について
(1)区内文化施設の実務者会議の提案
(2)植村冒険館資料の活用について
(3)美術鑑賞教育の導入について
5 スポーツ振興 施設の早朝利用実施について
6 商店街振興・産業振興について
(1)商店街振興の中長期的な支援体制について
(2)地域振興アドバイザーの派遣について
(3)商店街のにぎわいづくりについて
(4)産業見本市について
(5)庁舎を活用した情報発信について
7 教育環境の向上について
(1)「いきいき寺子屋事業」の支援体制
(2)芝生出前講座について
(3)避難所としての機能の点検
8 災害対策について
(1)災害対策の進捗状況について
(2)避難所の開設訓練の実施について
(3)防災倉庫拡充の状況について
(4)広域避難場所指定の地域住民との連携体制について
(5)マンション防災について
9 情報発信について
(1)「広報いたばし」の在り方について
(2)情報発信の最適化について
(3)ホームページの掲載方法について
10 区政制定80周年 もてなしの心について
(1)区政制定80年の意義について
(2)行政サービスの向上について
(3)文化と歴史を通じた交流について

●山田貴之議員  ただいまより通告に従いまして、自民党の一般質問をさせていただきます。
 自民党のトップバッターを務めます山田貴之です。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、持続可能な区政運営についてです。
 危機的な状況にある板橋区の財政について、歳入、歳出を単年度とともに中長期的な視点でとらえ、議論を尽くすことや区民に明らかにすることが求められています。次年度の予算編成に向けて、区長のもとで持続可能な区政運営のためにさまざまな舵が切られると期待しておりますが、その進む方向を共有して支援をしてまいりたいと考えております。
 財政健全化に向けた区長の意気込みについてお伺いします。
 今年度、平成24年度は、長らく課題となっている生活保護受給者の就労支援について、板橋区でも一歩前に出た取り組みを行っており、評価しております。福祉事務所での求人と求職のマッチング、就労意欲の喚起を目指す支援など、その成果に注目しています。稼働年齢層の保護率の高い板橋区においては、必要な方への支援を行う一方で、労働が可能になった人には労働のきっかけをいち早く取り戻していただくことが、増大する福祉費を抑制する契機になると考えます。稼働年齢層の就労支援に力を注ぐ板橋区の新しい取り組みの推移を見守りたいと思っています。
 また、財政基盤を強化し財政健全化を達成するためには、歳入、歳出のどちらについても注視していかなくてはならないと考えています。「事務事業の見直し」には、事業廃止や縮減、予算の削減、事務効率化、外部委託化といった歳出の見直しを注力しがちですが、税収や税外収入の確保、未収金の回収といった歳入の確保も同様に重要な課題です。「事務事業の見直し」とは、歳入を増やし、歳出の無駄を省く行政行為と理解しております。
 さらに、区民への負担、不都合は最小限にして、危機的な財政環境を契機として、「ムダを省くこと」と「行政サービスの質の向上」を同時に実現していただきたいと希望しております。
 しかしながら、職員の採用抑制や外部委託化、指定管理者制度の導入など、これまで板橋区でも行政改革を進めてきており、さらなるスリム化には痛みが伴うのではないかと懸念もしております。
 そこで、財政健全化に向けた区長の現状認識と目標達成への意気込みをお聞かせください。
 続いて、事務事業の見直しについてです。
 区長の施政方針演説では、「事務事業の見直し」に対して聖域を設けないと力強い発言を伺い、大変に期待しております。私は、微力ではありますが、新米の議員ならではの視点や感覚でご助言をさせていただき、板橋区のスリム化に向けて、区長とともに歩みたいと思っております。
 区役所の担当所管から事業の存廃を含めた「事務事業の見直し」についての覚悟を伺いました。多くの民間企業では、危機的な状況をリーダーが大英断を下し、切り抜けます。大量のリストラや工場閉鎖や海外移転などの手段が取れない区役所では、できることをしっかりと実行していくしかありません。
 そこで、区長にご提案したい「事務事業見直し」についての施策がありますので、お伺いいたします。
 東京都内の自治体では、住民票や国民健康保険などの窓口業務を外部委託する検討を始めています。周辺の自治体と新法人を立ち上げ、区役所の総人件費の二、三割を削減目標にするとのことです。人件費の削減が期待できるばかりでなく、休日対応や夜間対応など、実質的なサービスの向上も期待でき、非正規労働者を積極的に雇用することを行えば、雇用の創出にもつながるのではないかと考えています。
 板橋区も実現に向けて周辺自治体とも積極的に推進していただきたいと思いますが、区長のお考えをお示しください。
 続いて、区内施設の修繕計画についてです。
 持続可能性を考える上で、将来的に発生する経費についても想定をしておかなければなりません。板橋区内の施設の老朽化の課題についてですが、板橋区内にあるさまざまな施設は次第に耐用年数に迫り、必要な修繕や改築を順次行っていく必要があります。特に大規模な修繕や改築は、持続可能な区政運営実現のために避けて通ることができない、熟慮しなければならない事柄だと思います。国内景気の善し悪しによって増減する税収とは異なり、ある程度客観的に見積もることができることが可能な経費であり、本来であれば、竣工時には施設ごとに修繕計画が立てられていることが望ましいと理解しております。
 財政の厳しい現下にあっては、将来的に計画と多少のずれが生じるとしても、今後発生する修繕費における全計画を把握し、財政運営をしていかなければ、真に板橋区民の望む持続可能な区政運営は達成できないと思います。
 また、学校統廃合計画と学校跡地利用の速やかな移行計画も持続可能な区政運営を考える上で大切です。第一義的には、子どもたちのあるべき公教育のために、速やかな計画をつくることが大切です。財政的には、跡地利用を速やかに行い、民間の活力を活用することで維持費やメンテナンス費を圧縮し、早急に区有財産の有効活用をしていくべきです。
 公平な税負担の観点からも、世代間で不公平感が少ない方法での全体の修繕計画が必要だと考えます。修繕改修の管理を一元化し、いつ、どれくらいの経費が想定されるのか、どのように財源を充てていくのか、基金を活用するのか等、区内施設の修繕計画表を作成し、区長の専門的な見識によって板橋区の方針を定めるべきと考えますが、区長のお考えをお示しください。
 続いて、文化振興についてです。
 初めに、板橋区の基本構想についてご質問させていただきます。
 財源が厳しいと、歳出削減、むだの削減をするという考えの中で、削りやすいところから削るという安直な結論から、文化芸術の予算がなくなる事例を耳にします。また、私自身も美術館学芸員として働いていた経験から、少なからず実体験もいたしました。しかし、文化芸術の振興は中長期的な観点から施策や支援を続けていくべきと考えます。
 区の将来像を描く新たな「板橋区基本構想」が平成17年第3回東京都板橋区議会定例会で議決されました。広く区民の意見を取り入れ、未来の板橋区を志向する構想であります。特に将来像では「いきいき暮らす緑と文化のまち板橋」を掲げており、緑豊かな生活環境の中で地域の文化を大切に暮らす区民生活が志向されております。
 昨年3.11の大震災を経験し、さらに厳しい経済環境の最中にある板橋区であり、板橋区基本構想が議決された平成17年から周辺環境は大きく変化をしています。もう一度、この基本構想が板橋区にとって大切な基本構想であることについて、区長から説明を求めますが、いかがでしょうか。
 続いて、「いきいき暮らす緑と文化のまち板橋」の理念についてお伺いいたします。
 将来像に込められた意味として「いきいき暮らすまち」、「緑のまち」、「文化のまち」とされており、「地域に根付いた文化を大切にすることとともに、新たな地域文化の創出に積極的に取り組む区民」との協働の精神がうたわれています。
 区民まつりでは、区内の町会連合会の皆様をはじめ、各種団体の大勢の皆様のご協力のもと、大変盛大なお祭りが実現しています。いたばし花火大会も昔から友人とともに楽しみにしていた思い出のある文化行事です。また、最近では、板橋Cityマラソンにも参加させていただき、沿道から力強い声援をいただいて、42.195キロを無事に完走することができました。文化的なイベントの力によって活性化する地域を身をもって感じてまいりました。
 今後とも板橋が豊かに発展していくためには、緑ある環境整備とますますの文化振興が欠かせないと考えております。多くの地方自治体では、文化施策を地域活性化の柱に据えて特色のあるまちづくりを目指しています。板橋区においても、板橋区基本構想にうたわれているとおり、根づいた文化を大切にするとともに、新たな地域文化を創出する積極的な支援を行っていただきたいと考えますが、区長のお考えをお示しください。
 続いて、板橋区外の文化施設の活用についてです。
 板橋区に国宝級の工芸品や作品が展示できる展示室を持ち、授業の一環で気軽に施設利用ができるような文化施設があればいいと考えています。板橋区民、特に将来を担う子どもたちに本物の一級品の作品や工芸品に触れる機会を気軽に多く持ってもらいたいと考えているからです。それは、上野にある東京国立博物館の板橋分館という形で国の財源で実現したいと思いますが、これは私の個人的な夢であります。
 夢の話は置いておくとしても、板橋区からアクセスのよい上野公園内には、ご存じのとおり、国立の代表的な文化施設があります。「板橋区基本構想」にあるように、文化を大切にする将来の区民像を思い描くとき、もっと活用されてもよい施設ではないかと思います。東京国立博物館、上野動物園、国立科学博物館、国立西洋美術館、東京都美術館、東京藝術大学美術館などの国内有数の文化施設が上野にはあります。東京国立博物館には、日本の国宝の1割が収蔵されております。板橋区の子どもたちのために、これらの施設と連携を図って積極的な活用を進めていくべきだと考えています。課外授業や社会科見学の機会をとらえて行程に組み入れる、あるいはあいキッズや寺子屋授業の機会に展示内容の紹介を行う、夏休みの自由研究の課題の一つとして取り入れるなど工夫をしていただいて、子どもたちの向学心を高めるために区外の文化施設の活用を求めますが、教育長のお考えをお示しください。
 続いて、文化振興についての具体的な提案についてです。
 文化振興は、信念に基づいて具体的に推進していかなければ、新たな創造に結びつきません。
 そこで、あえて私は幾つかの板橋区において実現可能な新しい文化振興策について自ら提案をしてみたいと思います。
 1つ目、「アール・ブリュット」について、アートと福祉についてであります。
 「アール・ブリュット」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。フランス語で生きるという生の文字を書いて、「生(き)の芸術」を意味する芸術の一ジャンルです。障がい者美術と理解されがちですが、趣が違います。「健常者美術」に対して「障がい者美術」ではなく、主体的な文化の担い手としての願いや想いが込められています。
 「裸の大将」で親しまれた山下清さんという画家を知る方も多いでしょう。世界的にハンディキャップを持っていても特異な個性を発揮し、芸術作品を多く生み出しました。アール・ブリュットでは、ハンディキャップを持つ方の才能や特異な個性、画力に注目し、アーティストとして作品も大切に扱います。
 アール・ブリュットのすばらしさは、鑑賞する者に驚きや発見を与え、障がい者への理解を促します。また、障がい者に発表の機会を与えることで、文化の担い手として社会に貢献する場所が広がります。
 板橋区では、今年度、区制施行80周年事業として「障がい者美術展」が企画されています。この展示機会において、アール・ブリュットの考えを取り入れて企画展示を行い、ノーマライゼーションがさらに広まる契機としていただきたいと考えますが、区長の見解をお示しください。
 2つ目、「板橋板絵」について、アートと商店街振興についてであります。
 かまぼこ板を利用した「板橋板絵コンクール」をしませんかという提案です。かまぼこ板のサイズは食品メーカーによって若干異なりますが、おおむね幅5センチメートル、長さ11センチメートルと大きなものではありません。この板をキャンパスにして、さまざまな画材を用いて絵を描き、応募してもらうという簡単なコンクールです。かまぼこ板の制限のあるサイズの中で工夫して絵を描いてもらいます。本来は捨ててしまう木の板ですが、絵を描いてもらうことで作品として命が与えられます。
 この試みには、前例があります。小田原市にある「鈴廣」という食品メーカーが、かまぼこ板を使用して作品を募集し、注目を集めています。毎年コンクールには1万点を超える応募があるそうです。かまぼこ板はサイズが小さく、郵送や展示の扱いがしやすく、スペースをとらないので保管も展示もしやすいというメリットがあるとのことです。
 もう一度言いますと、仮称ですが、「板橋板絵コンクール」、「板橋」と「板絵」で語呂がよく、耳になじみます。ゆくゆくは板橋区を代表するアートイベントにするのが夢です。まずは板橋区役所のロビーに飾ってみるところから始めても構いません。優秀作品には、区長賞を創設して表彰するなどの工夫の余地はあります。作品を公募した後は、商店街の空き店舗などを活用させていただいて、商店街ににぎわいが生まれるような展示にします。区内の商店街を優秀作品が巡回する企画に発展すれば、板橋を挙げてのアートと商店街振興を兼ねたイベントになるのではないかと期待しています。少し先走り過ぎておりますが、商店街は活性化のための具体的なアイデアを求めています。そこで一つ踏み込んで提案をさせていただきました。商店街活性化のためのアイデアを板橋区から商店街へ提案してみてはどうでしょうか。区長のお考えをお示しください。
 3つ目、印刷文化の発信、デザインと産業振興についてです。
 板橋区は、印刷・関連産業の集積地であり、平成20年の工業統計調査によると、印刷・関連業の製造品出荷額で東京都区部において1位となっています。印刷・関連業は板橋区が誇る地場産業であり、産業振興の柱となるべきと考えています。
 先日、私は、板橋区内の製本工場3社を視察させていただきました。製本業だけを見学するという珍しい工場見学会でしたが、「製本」という工程だけをとってみても、奥深い技術が凝縮されていることを知りました。この印刷文化を積極的に発信していくべきではないかと考えます。
 毎年、板橋区でも多くの冊子が制作されます。例えば産業振興課が制作する冊子だけでも、コストをかけてデザインにこだわり、印刷や製本を特殊にし、冊子自体が話題を呼び、産業振興につながるようなつくりにしてはどうかと思います。子育て世代の関心を引くような母子手帳をデザインすることもできるでしょう。
 印刷業が盛んな板橋であるからこそ紙の文化を大切にし、産業振興に戦略的に生かしてはどうかと考えますが、区長のご意見を求めます。
 続いて、文化施設・作品・資料の活用促進についてです。
 教育科学館で開催された金環日食の観望会は大変盛況でした。朝の多忙な時間帯でしたが、日食を楽しむ大勢の方々の様子が印象的でした。科学館横の平和公園には、ピーク時には400人ぐらいが集まっていました。準備をされてきた職員やスタッフの皆さん、ご苦労さまでございました。
 区内文化施設の実務者会議の提案についてであります。
 さらに区民ニーズに向き合う文化施設であるために、文化施設双方の連携を推進してはどうかと考えます。文化政策で成果を期待するには、区内文化施設と地域と学校が連携した取り組みがますます重要になります。ハード面での充実が難しい財政状況でもありますので、ソフト面での充実を図っていくのが最善とも思います。まずは区内の文化施設同士が相互に情報等の交換を行い、教育事例や問題意識の共有化、横の連携強化、時に研修会や共同研究、勉強会を行い、区民サービスの向上を図るねらいがあります。
 また、熱帯館やエコポリスセンターに植村冒険館の写真パネルが展示されたり、教育科学館で美術館のイベントが行われたりと、地域にある施設によって偏っていた体験や学習の機会を解消し、離れた地域にある施設を知るきっかけの創出にもつながると考えます。限られた板橋区の人材、資源、施設を横断的に活用し、シナジー効果を期待するもので、施設の垣根を越えた自由な発想を期待します。
 区内の文化施設活性化のために、文化施設の実務者会議の定期的な開催を求めますが、区長の見解をお示しください。
 続いて、植村冒険館の資料の活用についてです。
 全国的に見ても「自然史」や「科学系」の博物館で個人がフィーチャーされている施設は珍しく、文化施設・植村冒険館は板橋区の誇る個性であります。
 昨年の一般質問で資料の有効活用を要望しました。今年の4月から約1か月間にわたり、植村直己さんの母校である明治大学博物館での企画展が開催されたことは、植村さんの功績をより多くの方に知っていただく機会となり、評価をするものです。特に学生を中心に若い世代に鑑賞された意義は大きいと考えます。植村さんが多くの冒険の記録や資料を意識的に残したことを思えば、冒険について伝えていくことは、植村さんご本人の思いに沿うものだと考えます。その功績はしっかりと伝えていかなければならないと思いますし、大切な資料を保有する板橋区の責任でもあるはずです。
 私は、近い将来、上野の国立科学博物館での植村直己企画展を開催することを願っています。同博物館の来場者は年160万人程度、自然科学系の企画展示も行っています。困難な時代を生き抜く「チャレンジスピリット」を学ぶ機会を板橋区の文化財によってかなえてはどうでしょうか。よい展示環境により、板橋区の文化財に広く認知されること、国立の施設を利用した企画展によりコストをかけずに実現できること、無料チケットの配布などの工夫によって区民の学習機会の向上にもつながることなど、区民にとっても利益があると考えます。また、展示を機会に貴重な資料が板橋区にあること、植村冒険館のPRにもなりますが、いかがでしょうか。
 企画展などを踏まえた今後の資料の活用方針と区長のご見解を伺います。
 続いて、美術鑑賞教育の導入についてです。
 区立美術館を有する区は、23区の中で5区のみであり、区立美術館を有すること自体が23区において板橋区の特徴となっています。区立美術館をさらに有効に活用していくためには、美術鑑賞教育を積極的に推進してほしいと考えていますが、いかがでしょうか。教育長のお考えをお示しください。
 続いて、スポーツ振興、施設の早朝利用実施についてです。
 昨年の6月の一般質問にて要望したことが今年4月に実現をしました。テニスコートの早朝利用です。現状、加賀のテニスコートは土日、朝7時からの枠ができ、5面あるコートすべてが予約で埋まっています。新たな使用枠の稼働率は、雨の日を除けば100%となっている状況です。多くの利用者が期待どおりの活用をされていると伺いました。開始から1か月、近隣からの苦情もなく、区民のスポーツ福祉環境の向上に貢献した施策となっており、大変に評価をしております。新たな施設をつくることが難しい中、スポーツを楽しむ機会を増やせたよいモデルになったと思います。
 ほかにも、新河岸庭球場など、周辺に住宅が少なく利用が拡大できる施設については同様に推進してほしいと考えますが、区長の見解をお示しください。
 続いて、商店街振興・産業振興についてです。
 商店街振興の中長期的な支援体制についてお伺いします。
 板橋区は、商店街振興として店舗の家賃助成を行っています。商店街での新たな活気づくりにとって、金銭的な助成も重要であります。または、イベントに対しての助成も行い、人手の掘り起こしも図っています。商店街としては、景気の先行きが不透明な中、何とか自助努力によってにぎわいを保っているような状況です。こうした区内商店街が再び輝くために、区としても歩調を合わせて対策を考えてほしいと思います。
 商店街のために中長期的な構想のある持続可能な支援体制の確立が重要であると考えますが、区長の見解をお示しください。
 続いて、地域振興アドバイザーの派遣についてです。
 商店街内部のアイデアだけでは、近年、なかなか振興策が十分でない状況であります。商店街の自主的な振興活動をサポート、援助するために、外部の人材によるアドバイザリーのニーズがあり、現状打開をするためにコーディネーター役となる人材が必要不可欠であります。
 特に近年は、若手で意欲のあるアドバイザーが地域振興に積極的にかかわり、柔軟な発想で一定の効果を上げている事例を耳にします。コミュニケーションデザイナーが商品開発や地域活性の独自な手法を導入し、異なったアプローチからにぎわいのある場づくりに取り組んでおり、効果を上げている事例もあります。アドバイザーと区内商店街とのマッチング事業など、板橋区としても先進的な取り組みをさらに進めてほしいと考えています。今後、高齢化が進む中で、身近な商店街で用が足せることは暮らしやすい町であることの要点となります。
 商店街の置かれている厳しい現状を打開するために、板橋区としてどのような取り組みを行っていくか、区長のお考えをお示しください。
 続いて、商店街のにぎわいづくりについてです。
 これまで区の施設で行ってきたことの場を商店街に移すことで、にぎわいの場づくりにならないかと考えております。区役所の地域センターで行われている教室や、区施設、例えば児童館で行われている工作のイベントなど、商店街の空き店舗や広場などに場所を移して定期的に開催できないか検討することを要望します。
 また、商店街振興のために汗をかいてもらえる人材が必要であります。商店街とともにどのように地域を活性化していくのか、ともに考え、アイデアを出すことのできる職員派遣が必要だと考えます。区役所の組織は大きく、また、さまざまな団体とのコネクションが築かれています。
 板橋区の持つ組織力や人脈を活用して、商店街のにぎわいづくりを地域の皆さんと協働して取り組んでいただきたいと思いますが、区長のご見解をお示しください。
 続いて、いたばし産業見本市についてです。
 産業見本市を区内外から注目される中小企業の意欲的なビジネスの場にするべきと考えております。先ほども発言しましたが、区内の製本工場の視察に行った際、同業者同士が互いの工場を相互に行き来し、親睦を深めたり、意見交換をしたりしている様子が印象的でした。
 「板橋区リーディング企業ガイド2010年」を読むと、感動します。板橋区にはこんなにすばらしい技術やシェアを持った企業があるのかと驚きます。冊子だけではなく、こうした企業を広く紹介する機会を持つべきだと改めて思いました。産業見本市と連動して、会場から定期的にバスを運行し、区内企業を回ってはどうでしょうか。産業見本市をステーションとして、区内全域で見本市を開催するような、板橋を挙げた産業振興の起爆剤として位置づけて注力をしてもらいたいと考えます。
 「いたばし産業見本市は板橋区全域が会場である」というイベントになれば、すばらしいと思いますが、区長のご見解をお示しください。
 板橋で開催する産業の見本市ですので、広く板橋の誇る産業を知ってもらう学びの機会になることを願うとともに、産業見本市から力強い板橋区の情報発信を期待したいと思います。
 続いて、庁舎を活用した情報発信についてであります。
 視察に伺った霧島市では、特産品の焼酎や誘致に成功した企業の製品が誇らしげに美しくディスプレイされており、一目で霧島市の特徴がわかるように工夫されていました。板橋区リーディング企業ガイドには、板橋区が誇る企業が掲載されています。
 また、先日、新聞の記事では、板橋区内在住の塗料メーカーが断熱性の高い塗料を開発し注目されていることが掲載されていました。
 こうした板橋区の自慢を南館のギャラリー等を積極的に活用して情報発信に結びつけてはどうかと考えます。
 南館や区役所空きスペースを活用して、こうした中小企業の支援がもっとできるのではないかと考えますが、区長のお考えをお示しください。
 続いて、教育環境の整備についてです。
 「いきいき寺子屋事業」の支援体制について質問をします。
 寺子屋事業を新しく導入する学校では、特にPTA役員が役員としての仕事のほかに、寺子屋事業のマネジメントを担うことになる場合があり、負担がかかります。板橋区としても、他校の取り組みの情報提供や講師となり得る人材の派遣などを通じてサポートをしてほしいと思います。また、各校の寺子屋事業が相互に情報共有が図れる場づくりなども進め、寺子屋事業内容でよい取り組みが区内の小中学校で共有される面として広がることを期待したいと思います。
 今後の区の支援体制についてお伺いいたします。
 続いて、芝生出前講座について質問をさせていただきます。
 子どもたちの学習環境の向上のために、芝生化は効果がある事業だと考えています。校庭を使用する各種団体との合意をとりながら、理解のもとで進めるべきと思います。
 しかし、芝生で遊んだことのない子どもや親には、なかなか芝生のよさが理解できない現状もあります。東京都のお試し芝生化事業は、手軽に芝生について体験ができるよい機会であります。板橋区の各学校においてもお試し芝についての周知を行い、気軽に芝生を体験できる環境整備をしてもらいたいと思いますが、区の見解をお示しください。
 続いて、避難所としての機能の点検についてです。
 有事の際には、体育館は地域の重要な避難所となります。構造体の耐震化工事は平成23年度全小・中学校で完了したことは評価します。しかし、阪神・淡路大震災において体育館の天井パネル、照明、教室の天井づきのテレビ台などが落下したとのことであり、文部科学省では、「地震による落下物や転倒から子どもたちを守るために~学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック~」を用意し、啓発を行っています。特に体育館などの人が避難をし、集まる場所について、天井からの落下物がないかなど、非構造物の落下について安全対策を講じてほしいと考えますが、教育長のお考えをお示しください。
 続いて、災害対策についてであります。
 「木造住宅の耐震化の推進とあわせ、非構造建築物の耐震化の推進に重点的に取り組む」と、区長は施政方針演説で述べられました。震災への備えが確実に進んでいることに対して評価をいたします。危機的な財政の中でどのように防災対策を効果的に講じていくか問われています。防災計画に変更がないか、また、現在の進捗状況について、幾つか区長にお伺いします。
 災害対策の進捗状況についてです。
 災害対策について、板橋区は見直し、総点検を進めています。区民としても、防災は関心が高く、区から発信される情報を注視しています。自助、共助、公助の役割をしっかりと認識をし、それぞれの役割を果たし、災害前に備えておくことが大切であります。公助の役割を担う板橋区として、震災後にどのように対策が進んでいるのか、今後どのように区民の安全対策を講じていくのか、区長から改めて情報発信を願いたいと思います。
 続いて、避難所の開設訓練の実施についてです。
 練馬区では、学校単位で避難所開設の訓練を行っており、地域の皆さんと避難所開設委員会をつくり、大規模な訓練を行っています。板橋区でも、防災訓練では地域センター管轄になっておりますが、避難所の開設訓練をぜひ学校単位でやることを推進してほしいと思います。平時に1度も扱っていない資材や、行っていない連携は災害時にうまく機能しないのではないかと疑問が残ります。他区の取り組みも参考にして、教育委員会と危機管理室が強く連携をして避難所開設訓練を学校単位で推進していただきたいと考えますが、区長のご認識をお示しください。
 続いて、防災倉庫拡充の進捗状況についてです。
 防災倉庫の拡充については、多くの地域から要望が寄せられています。まずは、各自が最低3日分の備えをしておくことが大切ですが、板橋区の倉庫も同様に備えておく必要があります。震災の経験を経て、これまでどのような物資を拡充したのか、今後どのように物資を拡充していく計画があるのかお示しください。
 続いて、広域避難場所指定の地域住民との連携についてお伺いします。
 板橋区では、中台地域の広域避難場所はサンシティという大規模な集合住宅地を含んでいます。一時的な火災などを逃れるため、東京都によって指定されています。数年に一度、都と区の協議を行うとも伺いました。災害時に避難者が私有地に大勢集まることが想定されています。災害時に混乱しないように、区としてサンシティ管理組合との対話を定期的に続けて災害時に備えてほしいと考えますが、いかがでしょうか。
 続いてマンション防災についてです。
 木造密集地域の解消、耐震化・不燃化工事助成など、区としても震災後、懸命に取り組んできました。災害想定でも、家屋倒壊や火災によって死傷者が多数出ることが想定されるため、区としても優先順位が高いのは理解できます。他方で、板橋区は中規模マンションを多く抱えているのも特徴であります。木造密集地域とマンションが建ち並ぶ住宅地域は、それぞれの地域で震災に備える備え方も異なります。板橋区としても、地域特性を考えて防災意識の啓発、啓蒙を行ってほしいと考えます。マンション防災に特化した災害対策の講座を開催するなど、各マンションの管理組合と連携をして啓蒙に努めていただきたいと思います。
 避難所や広域避難場所の人員収容量に限界がある中で、マンション住民が各住戸で情報から遮断されずに、いかに社会生活を早く復旧できるかは区の全体の復旧スピードに大きく影響を及ぼします。マンション防災意識の啓蒙に対して区長のご認識をお聞かせください。
 続いて、情報発信についてです。
 「広報いたばし」のあり方について質問します。
 現在のところ、「広報いたばし」は月4回の発行であり、週に一度のペースで刊行されています。これは多くの自治体の中でも珍しい取り組みであり、日ごろ、編集に従事されている職員の皆さんのご苦労は大きいと考えます。
 一方で、あえて問題点を指摘しますと、1週間に一度の区報のスピードは速過ぎて、区民が情報をうまく処理できず、重要な情報や知りたい情報を知らずに終える可能性も含んでおります。
 私は、区報発行は月3回ないしは2回の発行にとどめ、その分、大事な情報は特別号として発行した方がよいのではないかと考えています。情報を整理し、文字フォントを大きくしたり、視認性が高いユニバーサルデザイン文字にしたり、さらに見やすい記事づくりのために検討をしていただきたいと思いますが、区長の見解をお示しください。
 続いて、情報発信の最適化についてです。
 区は日ごろから多くの情報を区民に提供しています。一方、区民の側としては、膨大な情報の中から必要な、有益な情報を引き出すことに苦労しています。情報発信する媒体、手段を棚卸しして、情報の重要度に応じて使い分ける基準が全庁的に必要だと考えます。港区では、区報とは別に、公益財団法人が主に文化やスポーツに特化した広報紙を作成して、情報媒体を分けています。板橋区でも、多くのクラブやサークルに関する掲載が順番待ちの状態であり、掲載までには数か月かかるため、区民にご不便をおかけしている状態です。
 情報伝達の手段を棚卸しし、新しい発信の手段も考慮しながら、受け手に明確な情報発信の最適化を望みますが、区長の見解をお示しください。
 続いて、ホームページの掲載方法についてです。
 委員会に出席をしますと、広報や周知の手段として「ホームページを活用していく」と理事者に答弁される機会が増えました。手段として大いに活用するべきだと考えています。しかし、ホームページに掲載と一口に言っても、トップページに掲載する、各部課のページにとどまる、数日間掲載、1か月間掲載など、期間と場所によって効果は異なるはずです。何度かクリックをしてやっとたどり着くような場合は、情報としては開かれていると言えますが、積極的な情報発信にはならずにあります。情報の重要性に応じた適切な掲載を望みますが、区長のお考えをお示しください。
 最後になります。区制制定80周年もてなしの心についてお伺いします。
 区制制定80年の意義についてです。板橋区制制定80周年です。おめでとうございます。板橋区で育った人間として大変にうれしく、喜ばしいことだと感じています。この80年という長い歳月の節目の年に、区議会議員として板橋区政にかかわることを誇りにも、光栄にも思います。これまで区政にかかわってこられた諸先輩方に敬意を表するとともに、さらに質の高い区政であるために私も力を尽くしたいと思っています。
 80周年は1つの節目であります。坂本区長からその意義について、板橋区の全職員に対しお話をいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、行政サービスの向上についてお伺いします。
 坂本区長はもてなしの心と行政サービスの質を説いておられ、大変に共感するところであります。もてなしの心を職員に浸透させるためにも、区民や職員に向けて、民間企業のようにトップの考えを明確に具体的に表現してはどうかと思います。区役所を訪れる人が80周年ともてなしの心について、区長の思いに触れるように区役所に「ごあいさつパネル」を設置してはどうでしょうか。あいさつパネルとは、80周年に際して区民の協力への感謝、さらなる区民のご協力のお願い、区のこれからのビジョンなどが含まれることが私はふさわしいと思います。また、職員の携帯するクレドカードに、「おかげさまで板橋区制制定80周年」という民間企業の品質月間のように、意識啓発のためにシールを貼ってはどうでしょうか。私はそれぐらい80周年が意義深く、行政サービスを見直す起点になると考えています。
 現状は、区役所を訪れても、板橋区制80周年を知るような情報発信はありません。景気が悪くなれば、多くの苦情が寄せられるのは民間企業でも区役所でも同じだと思います。財政が厳しく、区民に負担をかけることもありますので、「もてなしの心」を持ってさらに区民目線で仕事に励んでいただきたいと思いますが、区長のお考えをお示しください。
 最後に、文化と歴史を通じた交流についてであります。
 80周年事業に関して町会連合会が協定自治体である沼田市と「文化と歴史を通じた交流事業」を計画していると伺っています。板橋区と沼田市は戦時下の学童疎開を通じてともに苦難を乗り越えてきた歴史的なつながりがあり、幅広い交流が望まれます。今回の事業実施に関して、区はどのように協力をするのか。沼田市との交流イベントの内容と区の協力体制について区長にお伺いをします。
 以上、一般質問を終わります。(拍手する人あり)

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●教育長(中川修一君)  それでは、山田貴之議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、持続可能な区政運営における財政健全化に向けた区長としての意気込みについてのご質問であります。
 リーマンショック以降、特別区交付金等の急減と生活保護費等の扶助費の大幅な増加によって、支出が収入を常に上回り、その不足分に対しまして基金から巨額を投じることで予算編成をしている状況が続いております。収入の不足を最終的に埋める財政調整基金の残高につきましては、平成24年度末には約35億円まで減少し、このまま推移すれば数年後には枯渇をするのではないかと危ぶまれる状態にあり、危機感を強めているところであります。
 そのため、平成24年度予算における財政調整基金からの繰入額約50億円の解消を目指して、あらゆる手法を講じていくとともに、27年度までの3年間で見込まれる100億円の財源不足を解消するために、歳入歳出の両面から財源を生み出すことに全力を挙げていく予定であります。基金に過度に依存しなくても予算編成が可能な財政基盤を構築し、一刻も早く持続可能な区政経営に転換することが「未来への責任」を果たすことであると確信をしております。
 次に、事務事業の見直しについてのご質問であります。
 経営革新計画では、「事務事業の効率化」を改革の柱の1つとして掲げておりまして、「公共サービスの民間開放による区民サービスの向上」の視点から、業務プロセスの分析を踏まえて、業務委託化の可能性を追求しております。窓口業務につきましては、庁舎建設本部の総合窓口専門部会において、庁舎南館改築後の総合窓口のあり方を検討しておりまして、業務委託の可能性につきましてもあわせて検討を進めていく予定であります。
 ご指摘をいただきました窓口業務の外部委託方式につきましては、現在、足立区で勉強会を立ち上げておりまして、今月中に23区にも参加を呼びかける予定と聞いておりますので、板橋区といたしましても研究の場には積極的に参加していく考えであります。
 次に、区内施設の修繕計画についてのご質問であります。
 財政負担の低減と年度間の平準化を図るとともに、施設の適正配置を推進するための海図とも言える公共施設等整備計画の平成24年度中の策定に向けて、現在、作業を進めているところであります。この公共施設等整備計画の中で児童福祉施設や集会施設といった施設種別ごとの適正配置の考え方や集約化・複合化などによる施設更新経費の縮減、あるいは平準化を図るための基本的な方針を示す予定であります。
 来年度以降、この方針を踏まえて、施設改修等の情報を管理している「建物保全管理・営繕業務支援システム」のデータを活用して、各施設の整備計画を作成するとともに、修繕等につきましても計画的に対応していく必要があると考えております。
 次に、板橋区基本構想についてのご質問であります。
 平成17年10月に議決をされました「板橋区基本構想」につきましては、概ね20年後を展望し、板橋区の望ましい将来像と、その実現に向けた目標を示すものでありまして、区政の長期的指針として重要なものであります。板橋区では、「板橋区基本構想」を受けて策定をいたしました「板橋区基本計画」の施策体系と整合を図りながら、3つのナンバーワンを目指した、「いたばしNo.1実現プラン2015」におきまして計画事業を定め、目標達成に向けた取り組みを進めてきたところでもあります。
 現下の厳しい財政状況にありましても、「板橋区基本構想」の将来像や理念はいささかも揺らぐものではありませんが、文化施策に限らず、全ての事務事業の見直しを行っているところでありまして、「選択と集中」の観点から、集中的かつ効果的な行政資源の投入によって施策を展開していくことが肝要であると考えております。
 次に、「いきいき暮らす緑と文化のまち"板橋"」の理念についてのお尋ねであります。
 「板橋区基本構想」の将来像になります「文化のまち」とは、板橋区に根づいた文化を大切にしつつ、新たな地域文化の創出に積極的に取り組む、区民の心の豊かさをあらわしたものであります。この将来像の実現に向けて、平成23年3月に策定をいたしました「板橋区文化・芸術振興ビジョン」を施策としまして、これを区民とともに着実に進めていくことの中で、新たな文化・芸術の価値も生まれ、魅力ある板橋がつくれるものと考えております。
 次に、「アール・ブリュット」についてのご提言でございました。
 アール・ブリュットとは一般的に美術教育を受けていない人などが既成の表現法にとらわれずに自由に制作した作品のことであると認識をしております。障がい者の方の作品につきましては、毎年12月の障がい者週間記念事業におきまして、作品発表と鑑賞のための障がい者作品展を実施をしているところであります。今後も区民の皆様に広く鑑賞いただけますように、庁舎ギャラリー等で展示をするなど、作品発表の場についての提供について検討してまいりたいと考えております。
 次に、板橋板絵コンクールの提案についてのご質問であります。
 商店街におきましては、日ごろから継続的な集客につながるイベントの開催に苦慮していると聞いております。ご提案の板絵コンクールにつきましては、身近かな「かまぼこ板」をキャンバスにすることによって、老若男女の参加が可能な上、語呂合わせで「板橋らしさ」を備えるなどすばらしいアイデアであると考えます。商店街連合会をはじめにぎわい再生に取り組む商店街に積極的に紹介をしてまいりたいと考えております。
 次に、印刷文化の発信についてのご質問であります。
 印刷・同関連業の製造品出荷額につきましては全国市町村別で第1位でございまして、区内工業におきましても約5割を占める主要産業の1つであります。このため、区といたしましては、区内産業全体の振興策の充実はもとより、とりわけ印刷・同関連産業につきまして、区が制作する印刷物の活用も含めて板橋ならではの支援策について検討してまいりたいと考えております。
 次に、区内文化施設の実務者会議の提案についてのご質問であります。
 文化施設の実務者会議につきましては、これまでも文化施策の策定に係る庁内調整など、必要に応じまして会議を開催してきました。文化施設の魅力向上のための区民への情報発信、PR、イベント周知の手法や施設管理のための施設相互の情報交換はこれからも欠かすことができないと考えます。文化施設活性化のため、これまで以上に横断的な連絡調整が必要でありまして、そのための定期的な会議を開催を続けてまいりたいと考えております。
 次に、植村冒険館の資料の活用についてのご質問であります。
 植村冒険館で収蔵しております資料につきましては、冒険館を拠点としました企画展や小・中学校等における出張展示によって現在、活用しているところであります。より多くの方に植村さんの業績を知っていただくため、今年は明治大学博物館において企画展を実施しまして、約4,500人の方にご来場いただきました。今後も区外博物館等に働きかけをいたしまして出張展示を開催していくとともに、未公開資料の公開や、豊岡市の植村直己冒険館との連携をさらに密にしながら、資料の活用に努め、植村さんの偉業を伝えてまいりたいと考えております。
 次に、スポーツ振興における施設の早朝利用実施についてのご質問であります。
 体育施設の早朝利用につきましては、周辺に住宅が少ない加賀庭球場におきまして、土・日、祝日に限りまして、試行として実施をしているところであります。早朝利用を実施した結果、稼働率も高く、利用者からは好評を得ているところでありまして、近隣の方からの苦情も、現在のところ、ない状態でございます。区の生涯スポーツの振興と区民の健康増進を推進するために、今後、周辺に住居が少ない新河岸庭球場につきましても早朝利用の試行実施について検討してまいりたいと考えております。
 次に、商店街振興の中長期的な支援体制についてのご質問であります。
 各商店街におきましては工夫を凝らした集客イベントに取り組んでいるところでございますけれども、継続性を保つことが難しく、必ずしも年間を通じたにぎわいにつながっていないのが現状でございます。こうした実情を踏まえて、板橋区では東京都の「地域連携モデル商店街事業」に参加をする商店街の計画づくりを支援しているほかに、23年度からは、4年計画で一地域の商店街の魅力の向上に取り組む、「商店街にぎわい再生プロジェクト」に着手をしたところでございます。今後も、引き続き継続性のある支援のあり方を研究しながら、持続可能な商店街づくりに取り組んでいく所存でございます。
 次に、地域振興アドバイザーの派遣についてのご提案でございます。
 板橋区中小企業振興公社におきましては、商店街の要望に応じまして、商業振興の経験を持つ中小企業診断士を派遣する事業を行ってきております。また、相談内容や事業の方向性が明確になっている場合におきましては、建築士やITアドバイザー、デザイナー、POPライターなどの専門家や勉強会の講師などを派遣する事業を東京都中小企業振興公社が実施をしておりまして、昨年度分におきましては区内の4商店街が利用するなど、着実に活用が進んでいるところであります。今後も商店街の悩みや要請に的確に応えていけますように、各事業主体の役割分担を踏まえて支援体制の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、商店街のにぎわいづくりについてのご質問であります。
 商業振興の所管以外の区職員が商店街のイベント等に直接かかわることは、職務上様々な制約を伴い、困難であるとも考えます。しかし、本来の事業を商店街の空き店舗や店先などを活用して実施することは十分に実現可能であるとも考えます。最近では、ボランティア活動に取り組む職員のグループが商店街の夏祭りイベント等に参画するケースも出始めてきておりまして、区の事業との積極的な橋渡しや協働化を進める土壌というものが整いつつあると考えます。
 地域経済活性化につきましては、区政の重要なテーマであり、イベント等の開催だけではなく、都市計画などを含め、多角的ににぎわいづくりのアイデアが出せるように全庁挙げて取り組んでいく覚悟であります。
 次に、いたばし産業見本市についてのご質問であります。
 いたばし産業見本市は、区内企業のすぐれた技術・製品が集結する一大ビジネス展示会でありまして、区内産業を内外に発信する絶好の機会であります。過去には、見本市の効果を高めるため、工場見学ツアーを実施をしたことがございましたが、実施体制の整備など様々な課題もございまして、現在では行っていないところであります。しかしながら、産業観光の浸透によって、工場見学に対する企業側の理解も高まってきておりまして、改めて見本市と連携をした情報発信のあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、庁舎を活用した情報発信についてのご質問であります。
 庁舎等を活用して区内企業のすぐれた技術・製品を情報発信することは、区民の皆さんが区内産業に理解を深める上で有効な手段であると認識をしております。区ではこれまでハイライフプラザや一部の図書館におきまして、製品技術大賞受賞製品等の展示を行ってきているところであります。新南館におきましては、ギャラリーモール等の設置が予定されておりまして、それらを活用した情報発信など、区内中小企業の支援につながる取り組みの検討を進めてまいりたいと考えております。
 次は、災害対策の進捗状況についてのご質問であります。
 平成24年度は、災害時の対応力と実効性を高める施策について集中的に取り組み、各種計画や方針を定めて新たな防災対策を進めるための体制づくりを完成させる予定であります。板橋区地域防災計画の改訂と、計画に基づく初動マニュアルの策定を完了させ、全庁が総力を挙げて災害対策業務に取り組む体制を構築するものであります。また、地域防災力向上のため、住民防災組織に配備しているD級ポンプを50台更新するほかに、専門的知見を活用しました防災セミナーや訓練の実施、防災訓練の充実・強化を目指す予定であります。さらに、備蓄物資の総点検をし、大規模災害に備えて数量や品目、保管場所などを体系的に捉えた再構築を実施するほかに、同報系防災行政無線のデジタル化と難聴地域の解消に向けて関連機器の強化を図っていく予定であります。
 次に、避難所の開設訓練の実施についてのご質問であります。
 5月1日に開催されました平成24年度板橋区住民防災組織育成連絡協議会におきまして、総合防災訓練、自主防災訓練の実施に際しましては、避難所となる学校において地域と学校の協働による防災訓練及び避難所開設訓練を実施するという目標が定められたところでありました。また、各学校で開催されております学校防災連絡会におきましても、各学校単位での避難所開設訓練を実施するよう働きかけを行っているところでもあります。訓練内容の変更につきましては、直ちに対応できない場合もございますが、区も積極的に支援をしながら、実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、防災倉庫拡充の状況についてのご質問であります。
 災害発生時に必要となる防災備蓄物資につきましては、東日本大震災を受けまして、さらなる充実を目指しているところであります。本年度、備蓄物資の種類、配備、保管方法等の一連の事業を体系的に捉えるとともに、備蓄物資の被災者への支給、発災後の補充対応までを迅速、的確、適切に実行することを目指し、専門的知見を踏まえた計画を策定をするものであります。来年度以降、財政状況を勘案しながら、この計画にのっとって災害備蓄物資の最適化と再構築を実施をしてまいりたいと考えております。
 次に、広域避難場所指定の地域住民との連携体制についてのご質問であります。サンシティは東京都の広域避難場所に指定をされていることから、大規模災害時には近隣住民が避難していくことが予測されます。板橋区は、防災協定によって、サンシティ管理組合から災害用備蓄物資の保管場所の提供を受けているほかに、自主防災訓練やサンシティ祭りなど、機会があるたびに協議を行いまして、連携をしているところでもあります。今後も、サンシティの住民を対象とした災害対策と近隣の住民を対象としました災害対策の両立に向けて、継続して協議、検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、マンション防災についてのご質問であります。板橋区内の世帯数の半数以上が居住しますマンションにおける防災意識の啓発は大変重要であると認識をしております。区では、防災をテーマに「マンション管理セミナー」を開催するなど啓発事業を行っているところでありますが、引き続き機会をとらえて、マンションにおける防災意識の啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
 次は、「広報いたばし」のあり方についてのご質問であります。「広報いたばし」は、区民によりタイムリーな情報を届けるため、昭和63年から週刊で発行を行っております。毎週土曜日の発行は区民の間でも定着はしておりますが、その一方におきまして、編集に追われ、紙面の改善が図りにくいという課題もございます。現在、文字フォントを大きくし、記事の検索性を高めるなど紙面の改善を進めておりまして、秋以降、リニューアルを予定しておりますところでありますが、よりわかりやすい、かつ親しみやすい紙面を追求するために、発行頻度も含めて、広報紙のあり方についてさらに検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、情報発信の最適化についてのご質問であります。「広報いたばし」では、区政情報を中心にしながらも、より身近で親しみやすい紙面を目指しまして、区民のサークル案内やタウン情報も適宜掲載をしております。中におきましても、サークル案内につきましては、区民の皆さんからの掲載希望が大変多く、掲載までに時間を要するなど、ご不便をおかけしていると感じております。今後も、「広報いたばし」における情報の整理を一層進めながら、区民ニーズに即した紙面づくりに努めてまいりたいと考えております。
 次に、ホームページの掲載方法についてのご質問であります。区のホームページは、各課が事業執行に伴いページ作成を行っているところであります。中でも重要な情報やトピックにつきましては、広聴広報課と協議をしながら、トップページに掲載するなど効果的な掲載に努めているところであります。情報の重要度を考慮しながら、利用者の視点も踏まえて掲載をしていくことは大変重要なことでありまして、ホームページ運営の基本であるとも考えております。現状の課題を洗い出しながら、ホームページ全体のあり方の見直しを進めるとともに、全庁的に共通のルールで掲載を行っていけるよう運営管理体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、区制施行80周年の意義についてのご質問であります。区制施行80周年を迎えるに当たりまして、その意義につきましては、これまでも新年仕事始め式における年頭のあいさつや庁議などにおきまして職員に対しましては話をしてまいりましたが、今後も機会をとらえて、私なりの思いを伝えてまいりたいと考えております。区民の皆様、区議会の皆様とともに築き上げてきました、これまでの区の歴史を再認識し、あたたかい心のきずなと自治の精神にあふれ、いつまでも安心して住み続けられるまち板橋の実現に向け、全職員がもてなしの心を持ち、力を合わせていかなければならないと決意をするところであります。あわせて、次の時代につながるべく、まちづくりへの責任を果たすとともに、板橋区のすばらしさを全国に向けて積極的に発信をしていくという気概を持って、職務に精励していただきたいと考えております。
 次に、もてなしの心の浸透についてのご質問であります。板橋区では、もてなしの心による区政経営の推進を職員の行動規範として、行政サービスの質の向上に努めているところであります。区制施行80周年を機に、職員のさらなる意識高揚を図るとともに、区としての決意を、区役所庁内、庁外に向けて示していくことは大変重要であると考えます。「広報いたばし」やホームページはもとより、今後、80周年記念事業も本格的に実施をされていくこととなりますので、さまざまな機会をとらえて、これまで以上に情報発信に努めてまいりたいと考えております。
 次に、区民目線で仕事に励むことについてのご質問であります。板橋区は、もてなしの心による区政経営の推進を職員の基本的な行動規範としております。昨年度実施をしました区民意識意向調査におきましては、職員のもてなしの心に対する肯定的な評価が4割にとどまったことから、まだこの取り組みにつきましては道半ばであると認識をいたしました。区制施行80周年には、区民の立場や目線でどう職務に取り組むか、職員一人ひとりが気持ちを新たにし、スタートを切るよい機会と考えております。
 最後のご質問であります。文化と歴史を通じた交流についてのご質問であります。板橋区町会連合会が、本年10月19日に文化会館大ホールにおきまして、区制80周年協賛事業として、群馬県沼田市の皆さんと合唱などのコンサートによる交流事業を実施すると聞いております。歴史的につながりのある沼田市とは、平成20年に災害時における相互協力に関する協定を締結し、平成22年には、板橋区町会連合会、沼田市区長会の情報交流会を実施したところでございます。また、先月は、沼田支部の皆さんに板橋区を訪れていただきまして、研修会も開催をいたしました。こうしたつながりのある沼田市と、歴史や文化、芸術について市民レベルで交流することは大変有意義であると考えます。沼田市との交流がさらに深まるよう、区もできる限りの支援を行っていきたいと考えております。
 残りました教育委員会に関する答弁につきましては、教育長から行います。

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●教育長(北川容子君)  山田貴之議員の教育委員会関連の質問にお答えをいたします。
 初めに、板橋区外の文化施設の活用についての質問でございます。文化施設など、可能な限り、多様な鑑賞体験の場を設定することは、子どもたちの成長にとって大変重要と考えております。各学校におきましては、実物の美術作品を鑑賞する機会として、日光移動教室や中学校修学旅行を活用したり、社会科見学で上野の博物館等を利用したりしておりますが、集団での交通機関の利用や授業時数確保の関係などから、実施に際しましては課題があると認識をしております。これらの文化施設等につきましては、さまざまな機会を通して、施設のチラシや催事案内等を各学校に配付し、利用を促進していきたいと思います。
 次に、区立美術館を活用した美術鑑賞教育の導入についてのご質問でございます。小・中学校の学習指導要領におきまして、豊かな情操を養うため、鑑賞の指導は重視されるようになってきています。これまでも、区立美術館を会場として、児童作品展や中学校美術展を開催し、児童・生徒に鑑賞の機会を設け、その活用を図ってきたところです。今後は、これらの授業以外に、区立美術館の企画展などの内容を、学校を通して積極的にPRして、美術鑑賞の機会拡大に努めていきたいと思います。
 次に、いきいき寺子屋事業の支援体制についてです。いきいき寺子屋事業は、開始から10周年を迎えまして、各推進校では大変個性豊かな事業が実施をされております。貴重な体験活動や地域の大人とふれあう児童・生徒の交流の場となってきております。しかしながら、盛んに活動している寺子屋がある一方で、人材の確保やプログラムづくりに苦心をしているという寺子屋もありまして、教育委員会でも寺子屋同士の情報交換や協力体制の強化を支援しているところです。具体的には、寺子屋運営連絡会議や全実施校による寺子屋会議における情報交換、また、寺子屋だよりや10周年記念誌、ホームページを作成いたしまして、魅力あるプログラムや人材情報の共有化を図ってまいります。
 次に、芝生の出前講座についてのご質問でございます。校庭の芝生化は、環境面や教育面での効果とともに、地域を挙げた維持管理体制を組んでおりまして、地域ぐるみで学校を支えていただく契機ともなっていると考えています。現在、6校で芝生化をしており、今年度は中学校1校で実施の予定でございますが、その他の学校におきましては、東京都で実施する芝生出前講座や、一時的に設置して芝生を体験する試験導入を積極的に活用しています。今後も実施校と連携しながら、東京都の芝生化事業についての周知に努めて、学校の芝生化を推進していきたいと思います。
 最後に、体育館などの避難所としての機能の点検についてのご質問でございます。東日本大震災後には、学校の非構造部材の転倒や落下の危険性を点検し、緊急的な補修を実施いたしました。文部科学省の「学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック」を参考に点検を行いまして、児童・生徒の安全を確保するとともに、避難場所としての役割を果たすように、今後も補修を行ってまいりたいと思います。
 答弁は以上でございます。

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